従来のHB9CVの特性

4. 従来のHB9CVの特性

 アンテナを製作・交換しても従来の4エレHB9CVと比較してどれぐらいの性能があるのか知りたいものです。そのためには現在のアンテナの性能を測って置く必要があります。なにぶんアンテナを上げて360度回転できる場所は現在アンテナを上げている場所しか無いので、製作前に測れるデータは測っておくことにしました。自宅の南側約30m離れたところから、約30度の傾斜で山になっており、残る3方向は2階建て住宅となっています。幸い道路を挟んで西側は1軒分の更地で、南西方向に8m程度の高さ位置に公園があります。距離にして約60m。2mほどのポールにダイポールアンテナを取付けるとアンテナの高さと大差なさそうなので、そこから試験電波を出してアンテナパターンを測ることにしました。 受信機のSメータではデータも曖昧なので、シャック内のスペアナに接続してレベルを読み込むことにしました。送信側は2.5W出力のトランシーバにアッテネータ(33dB)を取り付けレベルを校正しました。この方法で、アンテナパターンと利得を求めました。但し、前述したように自宅のロケーションは山が近く反射の影響も多く、利得はダイポールの利得を2.15dBとし、スパンロスは計算値から求めました。

      HB9CVのアンテナパターン

 Comet社製の4ele HB9CV(Model CA-52HB4)の空中線パターンを測定しました。アンテナは、2階の屋根の上から約3mの高さです。自宅周辺は2階建ての一般住宅地で、南側約30mには六甲の尾根の傾斜地があり、樹木が生えています。グラフの上方向が北(0°)方向である。試験は自宅から60mほど離れた公園から試験電波を出し、その信号をスペクトラムアナライザで測定しました。送信信号はFT−690mk2の出力に33dBのアッテネータを付け、送信ダイポールの給電点入力で−6dBm(約0.25mW)で、送信用ダイポールの入力にはバランを取付けています。測定周波数は50.2MHzです。グラフの目盛は5dB刻みです。したがって、ビームの電力半値角は約60°、FB比は12dBでした。メーカの取扱説明書の電力半値角は54度以下、FB比は19dB以上ですが、測定環境を考えると仕様を概ね満足していると考えます。

4ele HB9CV パターン

利得は、以下の通り計算しました。
 送信機出力 FT-690mk2の出力にアッテネータを33dB接続し、ダイポールの接続点での出力は−6dBm(約0.25mW)。(送信はLOWレベル)
 ダイポールアンテナの利得を理論値の+2.15dB
伝搬損失は計算を簡単にするため、自由空間損失とし、
  Γ0=(4*π*d/λ)^2   から
    =42  (dB)
     d(空中線間の距離)=60(m)
     λ(波長)=299.8*10^6/50.2*10^6=5.972(m)
 受信系の給電損失は 0.4(dB)。
 空中線のフロントでの受信レベルは−36dBmでした。
 マッチング損失は無視しました。
 したがって、Gant(空中線利得)は、
  Gant=((−36)−(−6)+(2.15)−(42)−(0.4))
     = 10.25 (dBi)
でした。周囲環境の影響、ダイポールの指向性調整を調整していないこと。空中線の間に電柱、電線があること。南側の山の反射等、自由空間にはほど遠い状況ではメーカのカタログデータ10.4dB(おそらく、dBiと思われる)とは測定誤差範囲内ということになると思います。結果は非常に良くメーカのカタログ値を再現しているように思えますが、これは諸々の誤差が影響しあって偶々近い値になったと考えるのが妥当だと思います。この測定は輻射角の影響を考慮し、主ビーム方向で測定用のダイポールアンテナの高さを調整し、受信レベルが最大になった値を採用しました。
  


最終修正日: 99/05/15